テラウチのトイレ

テラウチのトイレ

B級作品「ファイアパンチ」

先月「ファイアパンチ」という漫画を読んだ。

 

知ってる? マンガ大賞2017年8位。作者の藤本タツキは「藤本タツキの妹がお兄ちゃんの動向を報告する」という形式でツイッターをやっているらしい。ヤバイ人間でしょ。


なんか、数人からオススメされたんだよね。

「テラウチ、ファイアパンチ好きそう」って。


テラウチは底浅人間なのでおそらく、自分の友人らはテラウチの全容を把握している。
だから友人らが「テラウチが好きそう」って言ったらほぼ間違いなく自分の好きな作品だと判断できるのだ。ラクチン、スゴイ! 画期的システム!


で、これは読むっきゃねえ! ってなった。

 

 

読んでない人のためにサラッと世界観を説明すると「氷の魔女」という存在のせいで氷河期みたいになってる。

そのせいで食糧不足や治安の悪化等々。一方で「祝福者」っていう超能力者みたいなんも生まれた。

主人公は再生能力を持った祝福者で、自分の腕を切って自分の村の人に食わせるみたいなことをしてる。おかげで村人たちはギリギリ暮らしていけてる。

けど、そこに王国軍人がやってきて「人食い村は滅ぼす」とか言って村も妹もことごとく「対象を燃やし尽くすまで消えない炎」で燃やされる。主人公は再生能力が強すぎて燃えたまま死なない。死のうかなと思うけど妹が最後に「生きて」って言ったもんだから、そりゃあね。

んで、氷の世界で身に炎と痛みを宿したまま復讐を誓う、みたいなね。

 

 

ぶっちゃけ、くそB級の作品だったと思う。
なんかグチャグチャしたものを全てほっぽり出して、どうにも腑に落ちないまま進んでいくストーリー。セカイ系でよく見る構図であるあるのエンド。サムいキャラがわんさか出てきて、色んなことが期待通りじゃない。


でも、なんだかまだ胸に引っかかり続けてる感じがあるんだよね。


面白かったとはあんまり言いたくない。
けど、いや、だから、まだ時々「ファイアパンチ」のこと思い出しちゃうんだよな。噛み砕けないな、飲み込めてないなって、思うんだよな。

 

個人的に一番印象的で象徴的だと感じたのは主人公が復讐を果たすシーン。

 

俺は、とても納得がいっていない。普通に「は?」って思った。

でもきっと何をどうしても不正解だったんだと思う。どんな判断をしても俺は「は?」って思ったし煮え切らない気持ちを抱えることになったんだろう。

 

作品について煮え切らないなって思う因子の一つに心理描写が少ない、ってのがあると思う。

てか主人公の支離滅裂に近いようなのしかない気がする。割と二面性(或いは三面性)を持った内心の読み取り難いキャラクターが多い。自己防衛のためのペルソナみたいなのを被ったやつが多い。けれど、我らはその行動からしかキャラらの真相の断片を読み取ることしかできなくて、煮え切らない。「お前本当は何考えてんの?」「お前本当は何がしたいの?」って思ってしまう。

主人公も内心を吐露するけれど、そもそも燃えている痛みのせいで深い思考ができないっていうね。そもそも主人公が自分の心理のすべてを把握していないし。

でも多分、現実ってそうだよね。

自分の真の芯が何したいのかってわからん。自分の感情は普段は理性で潰れていて、時折顔を見せた時に自分がどうしたいのかが僅かに分かる、くらいなもんだ。

また、他人の価値観は宇宙人のソレ。行動、言動から推察しようとはするけれど、答え合わせはやってこない。そして、考えて考えて泥沼にはまっていく、的なね。

 

てか書いてて思ったけど、支離滅裂なのはこの感想やんけ。もっと喋りたいこともあるけど、サクッと人におすすめするためのやつ書きたかったからね。うん。かけとらんけどね。

読んだ時の衝動的面白さよりも、尾を引く感じがとってもイイヨってことです。

 

きっと作者は一言で表せないから物語にしたのに、それでも冒涜的にこの作品を一言で表せる言葉、主題を今でも考えて探してしまう。そんな感じでした。

 

以上ってことでいいかな?

とりあえず、読んだらどうでしょうか?

以上!